お散歩メイドを利用してみた話

こんにちは、ゆりあんぬたそです。長いな

 


皆さん、メイドと聞いて何を思い浮かべますか?

 

おそらくメイドカフェをイメージする方が多いと思います。
かわいいふりふりのメイド服を着て猫耳をつけたメイドさんが、「お帰りなさいませご主人様〜♡」と文字通り猫撫で声でお出迎え。オムライスにお絵描きしたりパスタをまぜまぜしたりした後においしくなる呪文を唱え、ご出発のお時間になると「行ってらっしゃいませご主人様〜♡」とお見送り。なんだかこの文章書いてるだけでお腹いっぱいになったな(

 

秋葉原を中心として繁盛している所謂「萌え店」、やはり有名なのはメイドカフェだしむしろメイドカフェ以外の萌え店を答えられる人はまあまあの萌え店好きだと思います。


一方で、「JKリフレ」という言葉には聞き覚えのある方もいるのではないでしょうか。
表向きはJKにマッサージをしてもらうというお店(表向きとはいえこれでもだいぶいかがなものかと)ですが、実際は添い寝やハグ、ビンタなどのオプションメニューもあります。しかしメニューにない猥褻行為、所謂「裏オプ」が問題になり、摘発されました。ニュースでも取り上げられているのを見て初めて存在を知ったという方も多いと思います。


今回私が利用した「お散歩メイド」は、後者に近いビジネスです。
ホームページなどを見る限りでは「メイドが秋葉原をご案内する」という名目ですが、実際やっていることは「好みの女の子と格好(メイド服or私服)を選び、食事やカラオケ、プリクラなどを楽しみ(JKリフレよろしくオプションもあり)利用時間によって代金を支払う」という擬似デートであり、レンタル彼女ともパパ活とも言えない、なんとも微妙な位置づけです。ていうか私服が選べるって時点でメイドとしてのアイデンティティを捨てに行ってるのがウケる。

 

JKリフレの摘発後、一時期JKお散歩というものもありましたがこちらも補導の対象となったので、今はあくまでもJK風の18才以上の方々しか働いていないかと思います。

 


そんなお散歩メイドを、何故利用したか?
詳しく話そうとすると非常に長くなってしまうので割愛させていただきますが、一番大きな理由は「良く思っていないから」。

 

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、私は過去萌え店で働いていました。
メイドではなく魔法使いであり、カフェではなくバーでしたが、萌え店を詳しく知らない人からしたらまあ同じようなものです。独自の世界観があって、お客さんに飲食物を提供して、写真も撮って。

 

しかし、このカフェやらリフレやらお散歩、結構な確率で同一視されます。そして働いている側からすると、それがものすごく困る。

 

カフェ系はお店の中だけで遊び完結する世界であり、お客さんと個人的に連絡を取ることは基本的に禁止されています。「外から見えないやり取り」がNGなので、DMも駄目。お店の外で会うのなんてご法度。
初入店時にはまず禁止行為の説明を受けなければならない等、色々と厳しい面が多いです。

 

しかしお散歩系は、お店(非日常)の空間ではなく、外(日常)に連れ出して遊びます。リフレは店舗型ですがしっかり監視されているわけではないようですし、カフェ系に比べて規則も緩い。
さらにサービスの内容的な都合なのか、予約や営業の際にはTwitterのDMなど閉鎖的な方法で連絡を取ることが多いです。
極めつけは摘発の原因ともなった裏オプ、要は「管理者の目の届かない範囲なのでやろうと思えばなんでもできる」という不健全さ。


ここまで説明すれば「別物だな」とわかってくださる方は増えるかと思うのですが、そもそもまず説明する機会なんてないし、酷いと利用者でも区別がついてない場合があります。
私が萌え店で働いていて一番腹立ったのが、お客さんに「前ねーこういう店よく行ってたんだ!お気に入りの子がいてさ〜ほらここ〜」ってお散歩のホームページ見せられたこと。キレそうになった。


そんなこんなでお散歩という業種に悪いイメージしかない私でしたが、訳あって頭ごなしに否定することも出来ないという状況に。別にキモいの一言で終わらせても良いのですが、そこは私もオタク。世間的にマイノリティな部類であり、何かと好奇の目に晒され叩かれる経験をしてきた以上、試してもいないものを「あれは駄目だ」なんて言えません。

 


というわけで、お散歩メイドを利用する計画を立てました。
元々目星を付けていた子がいたので、お店と女の子は難なく決まり。
おめめぱっちりでふわ髪の可愛い子です。好きな食べ物がオッサンっぽいのもグッド。

 

どうせお金払うなら可愛い子がいいよね……と思ったのですが、なんと1時間8000円。2時間で多少割引きされて12000円。
予算が「お散歩中の食費等全て含めて10000円」だったので、この値段設定には少々面食らいました。
勿論店や女の子を替えればもっと安く済むのですが、この子を指名する事は確定だったので、1時間か2時間かの択。
「12000円……うーん……」と暫く悩んだ後、2時間で予約しました。その時一緒にいた友達に「どうせ2時間で予約するんだろうなと思って見てたよ」って言われてしまった。

 


予約日までの間、当日の服装や立ち回り等を念入りに考えました。
初めはアキヨドのレストラン街にあるガレットのお店に入ろうと思いましたが、前日にたまたま秋葉原に立ち寄ったため入ってみたところ、わりと食べづらいということが発覚し、没に。
結局は「レストラン街だからその場で聞きながら決めればいいや。どうせなんでもいいって言われそうだし。なんでもいいって言われたら牛タン」と決定。


そしていよいよ当日。お約束のように寝坊をしたため完璧とまではいきませんでしたが、きっちりと身支度し急いで出発。当然ですが「客が遅刻しようと終了時間は変わらない」ため、普通に必死でした。

 

アキヨドへ行く事は決まっていたので、最短で移動できるよう秋葉原駅昭和通り口で待ち合わせ。
黒の上着にグレーのスカート、いました。


私「○○さんですよね?ゆりあです〜お待たせしました〜」

メイドさん「こんにちは、初めまして〜!」

 


エスト〜〜〜スタート〜〜〜!

 

\ファンファ-ン/

 


まず紙とペンを出されました。利用規約のようなもので、お散歩を利用する際のルールが並んでいます。「カラオケ以外の個室には入れません」「アダルトなサービスは行なっておりません」ってちゃんと書いてありました。

 

サインしようと思ったら、うっかり本名を書きそうになってしまいました。偽名で申し込みしたことを忘れていた。詰めの甘さが出てしまいましたね。
不自然にぐちゃっと線で潰したけど、大丈夫なのだろうか(

 

サインを済ませたところで、いよいよお散歩開始。予定通りアキヨドへ行き、予定通りなんでもいいですと言われたので、予定通り牛タン屋へ。
道中趣味等質問をされたので、「ポケモンとモンハンが好きで〜」と無難に返答。
また萌え店で働く人は「相手も萌え店経験者と知るだけで一気に距離が縮まる」という定石があるので、自分も過去働いていたという話をしました。するとあっという間に共通の知人の話に……本当、萌え店業界は狭い……

 


私「女性の利用者って珍しいですよね?」

 

メイド「そうですね!でも何人かいらっしゃいましたよ」

 

私「(女性は)どのような理由でご利用されるんですか?」

 

メイド「一人で秋葉原に来たもののよくわからないから案内してほしい、とかですかね」

 

私「あ、本当にそういう理由で利用される方いるんですね。
JKお散歩が摘発されて一時期話題になりましたけど、その時はお客さん減りましたか?」

 

メイド「いや、むしろ増えました!ニュースで見て初めてそういう店があるって知った方が多いみたいで」

 

私「なるほど…… でもニュースのイメージだとあまり健全な伝わり方はしてないですよね?」

 

メイド「そうなんですよね〜。
先ほど利用規約にサインしていただいたじゃないですか」

 

私「書きましたね」

 

メイド「あれの最後に『アダルトなサービスは行なっておりません』って書いてあったと思うんですけど、『って書いてあるけど本当はやってるんでしょ?』とか言われますw」

 

私「うわあ、頗る面倒なやつですね……私もコンカフェで働いてた時、連絡先の交換を迫られて『そういうのダメって決まりなので〜』って断ったら『でも客と付き合った子とかいるんでしょ?』って言われましたw
実際そういう人が存在していたから、そう言われてしまうのも無理はないんですけど」

 

メイド「そうなんですよねw そういうの無しに働いてる身からすると迷惑ですね」

 


メイド「ところで……」

 


メイド「今回はどうしてご利用くださったんですか?」

 


私「………………。」

 


メイド「………………。」

 


私「お散歩に対してあまり良いイメージがないから……ですかね
でも試さないでごちゃごちゃ言うの違うなって思ったんで来てみようと」

 

メイド「えっどんだけ行動力あるんですかwwwやばいwww」

 

私「これもはや厄介ですよね!?」

 

メイド「いや、面白いんで全然アリですwww」

 


そんなこんなで牛タンを食べる我々。

 


私「個室じゃないにしても、二人きりって辛くないですか?」

 

メイド「うーん、それはむしろカフェ系の方が辛そうだなと思います。
カフェって、自分目当てじゃないお客さんが来てもお話ししなきゃいけないじゃないですか。
でもお散歩は『選ばれた』ところから始まるので、少なくとも私に興味がある人しか来ないんですよ。だから私はお散歩の方がやりやすいですね〜」

 

私「なるほど……ものすごくわかりやすいご回答ありがとうございます……たしかに他の子目当てのオタクと繋ぎで話すのしんどかった……」

 

メイド「二人きりで困る〜ってこともありますけどね!」

 

私「デートみたいなものですもんね……デートといえば、ガチ恋っていますか?w」
※ガチ恋…アイドルや萌え店キャストといった人気商売の人に本気で恋をすること

 

メイド「いますね〜w
オシャレなレストランで『こんなに好きなのにどうして僕じゃダメなんだー!』って泣かれたことあります」

 

私「やばすぎwwwww そういうとこやでって言いたい……」

 

メイド「本当……そういうとこですよね……w」

 

私「自分もガチ恋されたことありますけど、卒業する時わりと本気で悩みました」

 

メイド「悩んだんですか!?w」

 

私「その時ちょうど人恋しかったので……まあ結局『やっぱりないな』ってなりました。ルールも然りですけどね」

 

メイド「そういう出会い方しちゃうとどうしてもそういう目では見られないですよね」

 

私「そうですね〜下界で出会ってたら普通に仲良くなれただろうな〜って人はたくさんいます」
※下界…萌え店の外。店のコンセプトによって言い方は様々だと思います。私が働いていた系列は下界呼びだった。

 

私「ガチ恋じゃない方はどういった理由で……?あと年齢層も」

 

メイド「ただお食事したり、あと私お酒好きなので飲みに行ったり。若い人はあんまりいないですねー、40代が多いかな?」

 

私「あら、それは意外。料金お高めだからあまり若くはないだろうなと思いましたが、想像より上でした」

 

メイド「40代くらいって友達と飲みたくても、家庭がある方が多くてなかなか難しいんだそうです。だから一緒に遊んでほしいって」

 

私「え、なんか良い話……

 


ちょうど1時間。長居するようなお店ではないので、カフェにでも入りますか〜とアキヨド一階のカフェへ移動。

 

そこからは特に萌え店とかは関係なく普通にお話ししてました。ラブプラスについてめちゃくちゃ語られた。
あとどうぶつの森ってワードが出てきたので「(お!スマホ版楽しみって話かな?)」と思ったら、「最近とび森買ったんですよ〜!」って言われて爆笑。周りにやってる人がいないって言ってました。そらそうよ。

 


時間ピッタリに店を出て、料金を支払い、解散。ありがとうございました!

 


・雑感

 

「あれ?こいつ楽しんでね?」と思われた方、大正解です。普通に楽しかった。
 まあこういうのは当たり外れあると思うのですが、とりあえず私は大当たりでした。やったね!

 

特に怪しい雰囲気もなく、聡明な方で、会話に困らず、可愛いし(重要)、食べ方も綺麗だし(超重要)、楽しかったです。
まさに「下界で出会ってたら普通に仲良くなれただろうな〜って人」でした。

 


ダメなところを挙げると、やっぱり値段が高い。なんでこんな高いお金払ってんだってなる。

あと、お散歩中の費用(食事・カラオケetc)は全額客持ちなのですが、お店出る時当たり前のように「ごちそうさまでした」って言われるじゃないですか。マナーとして当然なのですが、あれ良くないと思います。
お金を払って会ってもらう、というサービスなのに、そこに「ごちそうさまでした」「どういたしまして」のやり取りが入ってくると、どうしても日常感が強いというか……下手したら友達以上。普通にカップルっぽい。なので、嫌です(

 

しかしガチ恋はさておき、「友達に会う」という感覚で利用されている方の方が多そうなので、これを嫌だと言ってしまうと利用者に「友達に会うな」と言っているようにもなってしまうので……難しいです。
会うためだけにお金払うなんて……とは思うけど、交友関係狭い人からしたら一生交わらなそうなところに踏み込めるチャンス。
他に友達がいたとしても、友人故のしがらみみたいなのもあるでしょうから、やりづらいこともある。そういうのと全く関わりのない人と話す機会というのは、必要なのかもしれません。その気持ちはわかる。

 


お散歩を終えた後、DMで「少しでもお散歩のイメージが払拭できていたら嬉しいです!」と言われました。

 

いやもうめちゃくちゃに功績上げたよね。

 


・会計報告

 

牛タン定食  2980円
カフェ  720円
お散歩 2時間 12000円

計15700円


・最後に一言

 

また会いたい